あなたにspark joy
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「どーしよー……」

シャワーを浴びてソファに寝転がると、私は思わずこう口にして胸を押さえた。

これは……この気持ちはなんなの?

もしかして恋とか?

いや、分からない……そして、ヤバイ。

人を好きになるという行為から遠ざかっていた為に、正直現段階ではよく分からない。

けど、けど!

もし恋だと仮定して……恋に落ちる時って、こういう感じだったっけ?

最初私は篠宮さんが嫌いだった。

長身で端正な顔立ちにも関わらず、嫌いだった。

なのに、恋?

それともこれは恋ではなく、ただの好印象?

……わからない。

でも、胸がドキドキしたし……。

その時、テーブルの上のスマホが鳴った。

「は」

『真優、今から会いたい。話あるんだ。近くまで来てるから上げろ』

高広め。

「えー、化粧落としちゃったし部屋着だし」

『気にすんな。飯は?』

「今から」

『じゃ、俺もなんか買ってから行く。じゃな』

……厚かましい男だったんだな、高広って。

プ、と返事も待たずに切れた通話に溜め息が出る。

交際期間が短かったしすれ違いばかりだったから気付かなかった。

私はソファから立ち上がると、夕食の用意をするためにキッチンへと向かった。
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