あなたにspark joy
「やあねー、仕事とプライベートは分けてほしいわ。雰囲気悪くなるし」

私の後ろで中村さんがウンザリしたように呟いた。

……呟いてはいるけど、確実に私にフっているのは明白で。

振り向いたものの、何と言っていいか分からない。

すると中村さんが、私をチラリと見て肩をすくめた。

「社長と佐伯さんって、三ヶ月前まで付き合ってたのよね。……」

「そう……ですか」

ていうことは、私……もう少しで佐伯さんのクレンジングオイルを借りるところだったのか。

その前に力尽きちゃったんだけど。

中村さんは更に続けた。

「佐伯さんってさ、あの佐伯グループの御令嬢なのよ。彼女のお兄さんは佐伯設計事務所のトップで、組織設計事務所の中でも一、二を争う事務所なのよね。なのに彼女、篠宮社長を好きになっちゃってさ、佐伯グループに入るのを拒否したみたい。こういっちゃなんだけど、デザインタフは独立系だし規模も佐伯グループに比べると小さいじゃない?佐伯さんのお兄さんにしたら気に入らないところもあったみたいで篠宮社長に圧力かけたらしいの。で、次第に二人の関係はギクシャクして……それにほら、佐伯さんて性格に難アリじゃない?」
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