あなたにspark joy
声を潜めるわりには話したくて仕方なかったのか、中村さんはペラペラと喋り続けた。

「これはあくまで私の想像だけど、最初から篠宮社長は」

その時、中村さんの言葉を遮るかのように鋭い声が響いた。

「なに無駄話してるの?!先方が待ってるのよ?!」

帰ってきた佐伯さんが、オフィスのドアの前で私達を睨んだ。

「すみません!」

「まだ休憩時間だっつーの。……じゃあ園田さん、お疲れ。お先に失礼します」

少し屈んで私の耳に顔を近付けて中村さんはこう言うと、自分のデスクに戻り帰り支度を始めた。

その間に佐伯さんは早足で私に近付き、ファイルを乱暴に置いた。

「設変指示書の用紙。指示書は必ず詳しく書いて二部コピー。一部は保管して、一部は先方に渡すように」

「分かりました」

「それから」

佐伯さんが私を冷たく見下ろした。

「慶太とどうこうなろうとか、思わない事ね」

篠宮さんの元カノが佐伯さんだと知った時よりも、今言われた言葉の方が私をヒヤリとさせた。

何……?どうして佐伯さんはこんな事をいうのだろう。

硬直する私に佐伯さんが意地の悪い微笑みを見せた。

「慶太が好きだって顔に書いてある」
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