無口な私の復讐劇
「行くよ」
はっきりとした口調で言った。
怪我の大きさもあって、矢田亜美咲は離れた病室にいる。
ノックしてはいると、顔には包帯グルグル巻き、右の太ももにも包帯が太く巻かれている女性がいた。
いや、顔だけを見ると正確に言うと女性かどうかもわからない。
左腕には大きな火傷の痕。
爛れていて、べっとりと薬が塗ってあるようだ。
「あ、亜美咲…ちゃん……」
「月音…、山田さん……」
「あ、亜美咲ちゃん、大丈夫なの……?」
「…」
大丈夫な訳ないだろ。
こんな傷だらけで、誰かもわからない状態になって…。
プライドの高い彼女が大丈夫なわけ…。
「大丈夫、大丈夫って…。
皆いい加減にして…!!
この姿を見て『大丈夫?』は!?ふざけんなよ!
お前らみたいに軽傷で済んだ奴らだからそうやって言えるんだろ!?
私は…私は……。
何でこんな姿に…!?
何で私なの!!
何でお前らじゃねぇんだよ!!」
いつも笑顔の矢田亜美咲。
激怒していて、こんな姿は見たことも聞いたことも無い。
「お前のせいだ…」
矢田亜美咲のその言葉に心臓がドクっと跳ねた。