雨上がりの恋
彼女と別れてもう二年が経つのか。


今にも降り出しそうな梅雨空を見て、最後に会った日の事をふと思い出す。


いや、ふと、なんかじゃない。


常に思っている。


今でも、


彼女の事を。


こんなにも未練タラタラなのに。


大人の余裕が聞いて呆れる。


教師になった俺は高校で英語を教えている。


だからと言ってぺらぺらに話せるほどの会話能力もなく、ただ受験英語に関しては少々、自信がある、ってくらい。


教師になり二年目にして三年を受け持つ事になったのも恐らく受験対策の一つなんじゃないだろうか。


まぁ、確かに教職員の中で大学受験の記憶が比較的、若い内には入るけれど。


窓ガラスにぽつりぽつりと水滴が付き始めていた。


「降ってきたか。」


ーーー私、雨女なのよねぇ。私が外に出ると必ず降り始めるのよ。


大して気にも止めない様子でそう言った彼女の笑顔が今でも鮮明に浮かぶ。


「ああ、俺、めちゃくちゃ女々しい。」


未練たらしい思いを断ち切るかの様に準備室を後にした。








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