雨上がりの恋
「たまたまだけど、先生に聞いてもらって良かった。マジ、リスペクト。やっぱ、ガチでリアルに聞くに限るよな。」


俺の答えに満足したのか中川は嬉しそうに教室を後にする。


ガチでリアルにって…実際の教師に聞くって事か?


はぁ…、英語訳の方が簡単だな。


窓の点検をして中川に続いて教室を出ようとしたらーーー


「あのさ、も一個、聞きたいことあったわ。」


行きかけてたのにまた戻ってきた中川。


「ん?どうした?」


えらい、真剣に進路悩んでるんだな。


「すっげー前の話なんだけど…先生、歳上と付き合ってた?」


「えっ、な、なに?なんで?」


思わぬ言葉に分かりやすく動揺する俺。


「先生、分かりやすー。そんなんじゃ女にもて遊ばれてんじゃん?」


「いや、別にそんな事…て言うか中川、なんでそんな事聞くの。」


「ん?なんかさぁ、俺がまだ一年の時、見たんだよね。ほら、学校の近くのマックのちょっと行ったところでさ、雨の中、抱き合う男女?今、思ってもあれ、先生だった気がするんだよなぁ。」


俺だ。


間違いなくあの日の俺の事だ。


だからと言って…


素直に認められるか。


「どうだろ?いくらでもいるんじゃない?僕に似たような人なんて。」


「まっ、そっか。たださ、」


「なに?」


続き聞くの怖いな。


「ただ…、何であんなにも簡単に惚れた女、離したんだろって。」


「えっ…、どういうことだよ。あっ、まぁ、僕ではないけど、参考までに。」


「えー、人違いなら話してもなぁ。まぁ、だから、あん時は俺もガキだったしどーでもいいわって感じだったんだけど、あの時の映像が結構、ずっと残ってんだよね、俺の中に。」


「へ、へぇ…そうなんだ。」


「でまぁ、俺も今、付き合ってる奴いるし、あっ、一組の三上。知ってる?」


「ああ、一組の三上さん。知ってるよ。彼女も成績良いよね。特に英語がね。だからよく知ってる。」


なるほど、例の幼馴染みの彼女って三上さんかぁ。












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