雨上がりの恋
「ほんと、ごめんね。就職祝いどころかゆっくり話す間もなくて。でも本当に助かったわ。」
「気にしないでください。久しぶりでちょっと緊張したけど、なんとかなるもんですね。」
「うん、全然、腕落ちてないね。失業した時はいつでも来てよ。なんてね。さてと、今日はもう看板も下げよう。全然話せなかったし少し飲んでく?」
千晶さんの心遣いが有り難い。
けれどもう遅いし、明日もある。
「お気遣いなく。今日は帰ります。その代わり今度、ゆっくり来ていいですか。」
「そうね。明日もあるもんね、先生?」
「俺、看板下げてきます。」
おどけてみせる千晶さんに苦笑いを返す。
結局、来なかったな。
俺の待ち人。
まぁ、来る保証もないしね。
看板を下げる為にカウンターから出ようとしたその時、ドアが遠慮がちに開いた。
「すいません。今日、もう終わりーーー」
待ち人来たる。