雨上がりの恋




「テストだりぃなぁ。」



学校の昇降口で聞き覚えのあるダルそうな声がしたと思えばケンイチだった。


テスト週間と言うこともあり、ケンイチのいるサッカー部も私が入っているバレー部も休みだ。


ケンイチを見るとどうやら同じクラスの男子と喋ってるのでたまには一人で帰るかと外に出るとーーー


「うわっ。」


私が一歩外にでた途端、雨が降り出した。


そりゃまぁ、梅雨時だし?


さっきまで曇ってたし?


天気予報でも午後から雨って言ってたし…


だけどさぁ…


なんでこのタイミングかな?


いっつもそう。


私が一歩外に出ると雨が降り出すことが多い。


段々、私には秘められた力があるんじゃないのかとさえ思えてくる。


特殊な訓練をすれば自由自在に雨を降らせたり出来るんじゃないの?


日照りで困ってる地域に雨を降らせましょうってか?


「さてと、」


いつだって用意している折り畳み傘をスクバから取り出し挿すと、雨降る中を颯爽と歩いていく。


「やっべぇ、俺、今日、傘持ってきてねぇじゃん。」


後ろでケンイチのぎゃあぎゃあ騒ぐ声が聞こえたけど、友達も一緒なんだし何とかするだろ。


私は振り返ることなくそのまま進んでいった。












「ーーーーおいっ待てって。」


「うわぁっ。」


いきなり私の傘に入ってきたかと思ったら私の手からそれを奪った。


もちろん、そんな事をするのはケンイチしかいない。


「ちょっと、何よ。いきなり。」


「はぁ?つか、声掛けろよ。お前、俺もあそこにいたの気付いてただろ?」


「でもクラスの男子といたじゃん。普段、部活でクラスの子たちと一緒に帰るなんてないんだし、たまにはいいじゃない。」


「俺はーーー」


「ん?」


「俺はーーーお前と帰りたい。」


「えっ?」





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