さようなら、きんいろ。




あたしの気持ちなんて、言葉なんて、なにひとつ聞こうとしないで交わされる会話。

それがいやで、子どもみたいにふてくされた表情になって、そんな自分が嫌いで。

あたしは音を立てて、箸を置いた。



……こんなことやったら、来んばよかった。



立ち上がり、ごちそうさまと口にする。



「真波、もうよかと?」

「よか。先戻る」



味のしない食事をしてしまったことに、罪悪感で心がにじんだ。

だけどやっぱり、足早に立ち去った後ろから軽やかな笑い声が聞こえることがあたしを憂鬱にさせた。



家に戻ると言ってきたけど、部屋に行く気にはなれず、反対方向へ足を向ける。



晩ごはんを食べはじめた頃はまだ明るかったのに、外はすっかり暗くなっていた。

太陽を失ってもまだわずかに熱がこもったままのアスファルトの上を歩きながら、じゃり、と靴の裏でする音を聞きながらも違うなと思う。



砂浜より無機質で乾いとる、冷たか音たい。



ただ黙って歩いていると、後ろの方から聞こえてくる規則的な足音。

走っているのがわかるそれに、あたしは落ちていた視線をあげる。

表情を明るいものに変えて振り向いた先には、



「真波ちゃんって歩くの早いのね」



息を切らした都がいた。






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