さようなら、きんいろ。




「なんしあんたが来とっと」

「追いかけたいなぁって思ったからだよ」

「なんねそいは、ばかじゃなかと?
余計なことばしてさ……」



あーあ、がっかり。

てっきりきょうちゃんが心配して来てくれたとか思ったとに。

期待はずれもよかところたい。



わざわざこがんところまで追うてきて、ほんなごて、面倒な女たい。



これ見よがしにため息を吐いて、くるりと背を向ける。

すたすたと歩いて行くと、なにも言わずに都はあたしの足跡をなぞるようについてくる。



「都、ついて来らんで」

「あ、はじめてわたしの名前呼んでくれたね。
嬉しいなぁ」



くそ、こがん反応ばさるっとやったら名前ば呼ぶとやなかった。

そいもうちの発言は完全無視やろが。



ふわふわしてて、女の子らしくて、それでいて不思議っていうか変なやつ。

そのくせ、きょうちゃんに大切にされている。



嫌いだと思う。

怒ったり、傷ついちゃえばいいとも。



こがんふうに考えっけん、きょうちゃんはうちに諭すばっかしで気持ちば受けとめてくれんとかな。

うちがちゃんと大人やったら、本気で考えてくれたとやろか……?






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