さようなら、きんいろ。




何度も手を伸ばして、髪をすいて、くすぐったいなと笑うきょうちゃんはあたしよりも子どもみたいに無邪気に笑っていた。

とてもどきどきする瞬間で、あたしは嬉しくてたまらなかった。



きょうちゃんが海にもぐる。

太陽が海にもぐる。



きょうちゃんが海から顔を出す。

太陽が海から顔を出す。



同んなじやったと。

あん男(ひと)に一番似ぉとった。



うちは、金茶の髪のきょうちゃんが、大好きやったとに。



ばってん、もう、おらんと。



「きょうちゃんの金茶ん髪ば失わしたとは、東京?」



行ったことはない、だけど煌びやかだという土地。

物価は高いけど美味しいお菓子があって、可愛い服があって、多くの人が集まるところ。

こことは違うところ。



そこがきょうちゃんば変えたとかな。



「そいとも、……都が奪ったと?」

「っ、」



あたしのきょうちゃん。

この島にいたきょうちゃん。



もうあの頃に戻れんとは、どっちんせい?



でも、たとえどっちが原因でもあたしには関係ない。

どうしようもない。






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