さようなら、きんいろ。
「うちはどっちも嫌いさね」
きつく、きつく睨む。
はじめて会った時よりずっと強く。
それでも堪えることはないんだろう、彼女はため息を吐き出すように笑った。
「わたしは、どっちの恭介も、好きよ」
笑って言ったその言葉に、心底いらいらした。
あたしは東京と都を比べているのに、昔と今のきょうちゃんを比べてきて。
ほんと、なんば言いいよっと?
うちのことが好きか嫌いか言うとならわかるばってん、きょうちゃんのことって、まるでうちが今のきょうちゃんは好いとらんごたるやろが。
……都はきっとほんとの意味ではわかっていない。
あの時のきょうちゃんを、あの眩しさを、あたしの太陽のことを。
そんなやつとこれ以上言葉を交わすことなんてなにひとつない。
黙って背を向けて、今度は思い切り走り出す。
歯を食いしばり、足を前に前にと出していく。
都は、今度は追いかけて来ようとはしなかった。
それでもあたしは必死で駆け続けて、なにかに負けているような気がして、少しだけ泣きそうになった。