さようなら、きんいろ。
4
星が溶けたような海が揺れる。
波音を立てて、海と空の境目は曖昧だ。
きょうちゃんの家でごはんを食べたあとの真夜中。
途切れ途切れの思考を繰り返しているうちに、こんなに時間が過ぎていた。
昔のきょうちゃん、今のきょうちゃん、さっきの都の言葉。
頭をぐるぐると駆け巡り、砂がつくことを気にもとめず、あたしは砂浜に座りこんでいた。
都に対して思っていた気持ちを投げつけたけど、気は紛れない。
むしろもやもやと心が陰り、家に帰る気になんてなれそうもない。
はぁ、と砂が落ちるようにかすかなため息をこぼすと、
「真波、そろそろ帰んないとおばさん心配するぞ」
後ろから聞き慣れた声────きょうちゃんの声がする。
振り向くとそこにはやっぱり、予想どおり彼の姿。
迎えに来てくれたことが嬉しいと思いつつも、座りながら「都になんか言ったって?」と言われてしまう。
自然と眉間にしわが寄った。
「あいつ、きょうちゃんになんか言ったとやろ?」
堪えとらんごと見えたとに泣きついたってね?
あー好かん、情けんなか。
こがんふうにきょうちゃんからうちに伝わるごとするとか、やり方のずるかとね。
膨れあがった怒りがあたしの心の揺らぎをかき消す。
そがん方法じゃ、うちは負けたりせんけんね!