さようなら、きんいろ。
5
「きょうちゃん、またね!
絶対にまたすぐ帰って来てくれんね!」
次の日の昼過ぎ。
2日前に帰って来たきょうちゃんを迎えた時と同じように、あたしは船着場まで見送りに来ていた。
瞳を潤ませて、彼との別れを惜しむ。
このままきょうちゃんの手、離しとぉなかばってんね。
「次は正月には帰って来るよ」
「お正月ぅ?!」
……本当に離さんでおろうかなぁ。
帰って来る気のあっとやろかって疑うくらい間の空くもんねぇばってんなぁ。
そう唸りつつ、そんなことを考えているとふいに都と目があった。
「なんばこっち見ようと?
あんたはさっさと船に乗って、東京に帰らんね」
顔をしかめてみせる。
ふたりが東京に戻る日になっても、あたしの態度は、都との仲は少しも変わっていない。
子どもっぽい仕草やってわかっとるばってん、都はちっとも反応せんでただにこにこしとるとやもん。
ほんなごつむかつく。