さようなら、きんいろ。
あたしの様子に困ったようにきょうちゃんが名前を呼ぶけど、そんなの知らない。
「まったく、お前は仕方がないなぁ」
なんだかんだで優しく頭を撫でてくれる彼の手に擦り寄るようにして甘えた。
すると、にっこりいつもの笑みをうかべたまま、都がきょうちゃんからあたしを引きはがす。
まるでなんもなかったごとしとるばってん、明らかにうちたちの邪魔ばしてきたろうが!
あんたはいつでんきょうちゃんの近くにおらるっくせに!
ああ、……でも。なんだ。
都もそういう反応ができるやかね。
ヤキモチ妬いとるごたる、子どもっぽかこと。
ねぇ、そがんして邪魔するくらいには、うちのこと気にかかっとったと?
ひとりで焦ってから回って、ばかんごたるうちはちゃんと、都にとってのライバルやったと?
恐れられるごたる存在やったなら、……嬉しか。
嬉しかよ。
だってそいは、都がうちが向けるきょうちゃんへの〝好き〟を受けとめてくれとった証やけん。