さようなら、きんいろ。
自分の嫉妬ゆえの行動に、都は少し恥ずかしげに頬を染める。
赤くなったそれを隠すように、かすかに顔を背けた。
「ほら、恭介。そろそろ時間じゃない?」
明らかに誤魔化した都のことが気になりつつも、その言葉にはっとした。
そうたい……、もうそがん時間。
ふたりともここば出る時間たい。
あたしが口の中でもごもごと単語を切り貼りしていると、またねと彼女は別れのあいさつをしてくる。
なにごともなかったかのように去ろうとしているその背に向けて、慌てて声を投げつけた。
「都!」
名前を呼べば、足をとめる。
不思議そうに振り返って都はどうしたの? と首を傾げた。
「今度来るときは、東京の美味しかお菓子ばいっぱい持って来てくれんば」
「っ、」
「よか? わかったと?
そがんじゃなからんば島にはうちが入れてやらんとやけんね」
腕を組んで胸を張って、はたから見れば苛立つほどに偉そうな態度であたしはそう言い切った。