さようなら、きんいろ。
それは少しだけ未来の話。
夏が終わり、秋を迎えて、そして静かな冬の頃。
もしかしたら都がその前にきょうちゃんを連れて来てくれるんじゃないかって、少しだけ期待してるけど、まぁ遅くてもお正月には。
その時に果たされる、小さな約束。
そして本来なら無視してしまえばいい、なんの価値もないあたしという存在からの許し。
それだけで彼女は喜んでくれるんだ。
だからあたしは、嫌いだけど、でも、嫌いじゃないと思う。
見た目よりずっとしなやかな強さを持つ、優しい彼女のことを。
「うん。……うん!
真波ちゃんが持ちきれないくらいたくさん、たくさん持って来るね」
声を弾ませて、都は嬉しそうに頷く。
頭の中では景色の変わったこの島の様子が浮かんでいるんだろう。そこには都ときょうちゃんがいて、きっと、あたしもいるんだ。
あまりにも嬉しそうに、都がにこにこと笑っているから。
あたしもほだされたように、つられたように、きょうちゃんと視線を交えたあとで彼女以上に笑った。