さようなら、きんいろ。
久しぶりに、ほんなごと久しぶりに帰って来たって思いよったら!
女連れてね? そいも彼女とか言ぅて?
訳んわからんとに、普通にありえんやろが!
よくよく見てみると、きょうちゃんの周りの荷物には明らかに女ものの鞄なんかが紛れこんでいる。
彼に会えたことが嬉しくて冷静さを失っていたせいで気づいていなかったけど、なんだこれ。
きょうちゃんに荷物ば持たすっとも許されんとに、のこのこ帰省にまでついてくっとか空気読めとらんすぎ!
最低!
海風に揺れる内巻きセミロングに、真っ白なワンピース。
ノースリーブのそれからは、あたしとは比べものにならないほど白い肌が覗いている。
きょろきょろと周りを見回し、「海ってこんなに綺麗なんだね」だとかなんとか言っている。
ばってん、海の青さも知らん女がなんの用んあっとって話たい。
女は、そんなあたしの苛立ちに気づきもしないで、片手で髪を押さえつけて空気を震わせる。