さようなら、きんいろ。




あたしが変わらなかったように人が人を変えることは簡単なことじゃない。

自分から思わないと、変化なんて訪れない。それはきょうちゃんだって一緒だ。



彼が変わったのは、彼がそう望んだから。

望んだそれを、彼は手に入れたんだ。



だけどあたしの知っているきょうちゃんのままな部分もたくさんあった。



優しい笑顔。

まっすぐな姿勢。

あたしを大切に想ってくれていること。



変わった彼の中に残された、変わらない彼が、あたしの心を優しく包んでくれた。



そいけん、よかとさ。

もう、さみしゅうなかさ。



15歳、もうすぐ16歳。

あたしは高校生になった。

大好きだったきょうちゃんの周りにいた女の子たちと同じ制服を着るようになった。



あたしも変わった。

そしてもっと変われる。

あたしだって、大人になっていける。



だから、眩しいくらいに輝いていた、この恋とはお別れするんだ。



自転車のペダルを思い切り踏む。

ぐんぐんとスピードをあげて、進んでいく。

視界の端で波打つ海が光をあたしに向かって反射した。



太陽みたいな日々をここに残して。



うちもいつかここば出て行くとよ、きょうちゃん。



さようなら、きょうちゃん。

さようなら、きんいろ。

あたしの初恋。



               fin.






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