さようなら、きんいろ。
「真波、なにしてんの?」
遠い海に向けていた体を砂浜へと向ける。
すると、そこには昼間と同じジーンズにポロシャツ姿のきょうちゃん。
ジーンズごたっ、そがんもんば身につけとったら海に入れんとに、どがんしてそがんとば着てこがんところに来とっとやろ。
……ううん、本当はわかっとっと。
きょうちゃんはうちば迎えに来てくれたとよ。
昔、お母さんに怒られたり誰かと喧嘩したり、なにかあるたびにあたしを迎えに来てくれたのはきょうちゃんだった。
どんなにいやな気分になっても、悲しくても、きょうちゃんが迎えに来てくれるのがどこか嬉しくて、あたしはいつもここで彼を待っていた。
それはきょうちゃんがこの島を出ても、変わってなんかいない。
「きょうちゃんが来んかなって」
「そっか」
そっと目尻を下げて、きょうちゃんが微笑む。
仕草のひとつひとつが愛おしくて、あたしは唇をきゅっと噛んだ。