さようなら、きんいろ。
ちゃぷちゃぷと水が跳ねる中、あたしはスカートを広げて、きょうちゃんに見せつける。
「見てみんね、きょうちゃん。
きょうちゃんが通いよった高校の制服。
うち、高校生になったとよ」
きょうちゃんに見せたいがために着ていた制服。
それは中学生の時とは違うデザインになった。
ねぇ、島ば出る前に、きょうちゃんのそばにおった女の子たちと同じとよ。
「制服とか懐かしいなー」
「似合ぉとぉ?
ちょっとは大人っぽぉなった?」
「似合ってるよ。可愛い可愛い」
親戚の人が、知り合いが言うごと、保護者目線の「可愛いか」とか嬉しゅうなか。
真波ももう高校生か、とか言わんでよ。
子ども扱いとかいややけん。
うちが欲しかったとは、そがん明らかな年齢差ば感じさする言葉やなかと。
手の中で、スカートにぐしゃりとしわが寄る。
綺麗に整えておいたプリーツに余計な線が入った。
落ちた視線の先の、水面に映るあたしの影がゆらゆらと揺れる。