さようなら、きんいろ。




昔からきょうちゃんのそばにあるものが、人が、妬ましゅうて悔しゅうて。

同じんごとなりたかってずっと思ぉとったとに。



ばってん小学生になってん、中学生になってん、高校生になってん、どいしこうちが頑張ってん、きょうちゃんはもっと先ば歩いとっと。



うちん今は、きょうちゃんの過去でしかなかとやもん。



そがんとはどがんしたらよかとやろ。

どがんしても、追いつかれんとよ。



落ちこんだうちん心ごたっとは、なんひとつわかっとらんやろ。

そう思うのに、きょうちゃんはあたしと同じように靴なんかをそこらに置き去りに、海に入ってくるから、少しだけ胸が甘く鳴いた。

まくることができなかったジーンズの裾はすっかり濡れていて、張りついている。



あたしの目の前に立ったきょうちゃんは、あたしの頭をぽんぽん、と撫でた。

あたしの大好きな手つきのままだった。



「明日、俺の家まで晩ごはん食べにおいで。
うちの母さんのコロッケ、真波、好きだったろう? 頼んでおくよ」

「うん、」



あ、でけん、声の震えてしもうた。

恥ずかしか。

泣きそうになっとっとの、ばれとらんやったらよかばってん。






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