この想いを唄にのせて
「え、え!?いるの!?」
「そりゃ、いますよ……いたら悪いんですか?」
「そうか~いるんだ~!ねえねえそれって誰よ、同じクラスの子?」
まるで酔っ払いのような絡み具合でミッチャンに詰め寄る。
「年下ですけど……」
顔を真っ赤にしたまま恥ずかしそうに答えるミッチャンをニヤニヤとした表情で見つめると「キモイです、部長」と言われてしまった。
「ていうか、先輩もよく知ってる子ですよ」
「え?うそ、誰?」
私がよく知っていて、ミッチャンより年下だから、一年生ということになる。一年生で知ってる子は一人しかいないけれど、まさか。
「え、ミッチャンもしかしてパンダの事……」
私が言うと図星をさされてかあっと耳まで真っ赤にしたミッチャンに「声に出すなばか!」と背中を思い切りバシンッと平手で叩かれた。
「え、でもパンダって……他にもいるじゃん、タヌキチとかスズキくんとか。よりにもよってあんな不思議くん……」
「不思議くんだからいいんじゃない。タヌキチ先輩って何か微妙だし、スズキは確かにイケメンだけどそもそも部長のこと……」
「私?」
「いえ、これ以上言ったらたスズキに怒られるんでやめときます」
ミッチャンの言っていることはよく理解できなかった。
ただ一つ分かることは今のミッチャンは片想いの先輩だということ。せっかく近くにヒントが転がっているのだ。拾わない手はない。