この想いを唄にのせて
「えー、じゃあ何でしたっけ、ラブソングの書き方でしたっけ」
「うんうん!」
待ってましたとばかりに詰め寄る私にミッチャンは宙を睨んだ。
「そうですね……あたしが作曲するときはいつも好きな人を思い浮かべてます。その人に聞いて貰うような感覚って言うか、その人をイメージする感じ」
「イメージ……」
「先輩も試してみたらどうです?」
「試すって?」
「スズキのことを好きな子になりきって書いてみたらいいんじゃないですか?」
「ああ、なるほど……」
スズキくんを私の好きな人にするんじゃなく、私がスズキくんを好きな女の子の気持ちになりきって書けばいいのか。
「試してみる!行ってくる!」
「え、どこに?」
「もちろん、スズキくんのとこ!本人を目の前にして書いた方がいいかなって」
「なるほどです~」
「じゃあ行くね!ついでにパンダ見つけたら部室に行くように伝言するからちゃんと終了時間までここにいてね!」
「もう!余計なことしなくていいですってば!」
そんな事を言いつつも頬を赤らめているのだから説得力がない。内心は嬉しいんだと思う。
ミッチャンとの約束通りスズキくんを探しがてらパンダを探した。大体の当てはあったので向かってみると、案の定校舎の裏庭で日向ぼっこをしていた(自分探しの旅はどうした)ので部室に行くよう促した。