この想いを唄にのせて






「なあ、サクタ」
「ん?どうしたの、タヌキチ」
「お前スズキと何かあったろ」
「え……っ」


 図星をさされて内心ギクッとした私は表情も明らかに強張ってしまった。タヌキチにはきっと何もかもお見通しなんだと思う。たまに恐怖すら感じる時があるが本人には言うまい。

 今日は珍しく部活はお休みだ。そのおかげでこうしてタヌキチの学級委員の仕事(プリントをホッチキスでまとめるという単純作業)を手伝わされている。


「私、そんなに分かりやすかった?」
「うん、明らかに変だった。でもサクタだけじゃなくて、スズキも空元気っていうか、様子がずっとおかしいと思ってたよ」
「……そっか」
「何?もしかして告白でもされた?」


 これまた図星をさされた私は口を真一文字に結んで黙り込んだ。


「マジか……青春だな、ひゅーひゅー」
「幼稚園児かあんたは」
「だって告白だぞ?なかなか経験できるもんじゃないだろ、しかも部活の後輩から」
「そんなの、全然……嬉しくなんてないよ……」


 私はスズキくんを傷つけてしまったのだから。

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