この想いを唄にのせて
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勢いよく飛び出したものの、スズキくんは案外簡単に見つかった。
初めに私が向かったのはスズキくんのクラスだった。2-Aの教室を見ると、そこにはスズキくんが一人、ギターを弾きながら何かをしている姿があった。
あっさりとした登場に拍子抜けして思わずじっとその光景を見ていると、私の存在に気付いたスズキくんが顔をほころばせて駆け寄ってきた。
「サクタ部長!どうしたんですか?迎えに来てくれたんですか?」
「いや、うん、まあ…」
迎えに来たと言ったらちょっと語弊があるけれど。
「ていうか何してんのスズキくん!もうとっくに部活始まってるよ」
「あーごめんなさい、ちょっと作業してて…」
「作業?もしかして作曲?」
「……見られちゃいました?本当は出来てから先輩に教えるつもりだったのにな」
そう言って困ったように笑うスズキくんは私に背を向けるとギターと紙を持って此方に戻ってきた。