勘違いという恋の駆け引き



インターホンが鳴り
私の身体はビクッと反応した
そんな私を隣で鍋をかき混ぜているトウ兄はクククッと笑っている


「藍、出てくれる?」


優しい悪魔はニヤリと
笑いながら私に指示をした
しかたがない、と
オートロックを解除し
渋々玄関へ向かった


こんな事なら
初めから優さんに伝えとけば良かった
お昼の時点でメールはしたけど
いつも見たいな返信内容ではなく
【了解】のみ
これは明らかに機嫌が悪いのだろう


玄関ドアの鍵を開け
ドアを開ければ見慣れた顔
少しホッとしたが
すぐに顔が引きつった


絢斗の後ろに
あからさまに不機嫌な優さん
絢斗も苦笑いだ


『お疲れ様、絢斗、優さん』


「ただいまー、て。いいなあ、こういうの。なぁ、優?」


「……」


あー、これはマズい
絢斗も気を使って言っただろうに
優さんは全く反応しなかった

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