勘違いという恋の駆け引き



「何やってんだよっ、優っ!」


私より先に動いたのが絢斗
掴みかかる優さんを引き離し
優さんをなだめるが
今にも噛みつきそうに睨みつける

それとは逆に
トウ兄は薄笑いを浮かべている
一体何があったのか、わからない


「お前、最近おかしいぞっ!?」


優さんは絢斗の腕を払い
玄関へと歩き出した
何が何だか分からず
けど、行かなきゃと私も鞄を持とうとした



「逃げんだな。構わないけど…、なら藍は俺がもらうならな」


挑発とも取れる発言に
優さんの動きは止まった
いや、優さんだけじゃない
この場にいる私も、絢斗もだ


グイッと肩を引き寄せられた私
引き寄せた相手は…優さん、
ではなくトウ兄だ


「絢斗も帰れ。これからは藍と俺の時間だ」


そう言って私の頭にキスを落とした



< 104 / 162 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop