勘違いという恋の駆け引き
「何やってんだよっ、優っ!」
私より先に動いたのが絢斗
掴みかかる優さんを引き離し
優さんをなだめるが
今にも噛みつきそうに睨みつける
それとは逆に
トウ兄は薄笑いを浮かべている
一体何があったのか、わからない
「お前、最近おかしいぞっ!?」
優さんは絢斗の腕を払い
玄関へと歩き出した
何が何だか分からず
けど、行かなきゃと私も鞄を持とうとした
「逃げんだな。構わないけど…、なら藍は俺がもらうならな」
挑発とも取れる発言に
優さんの動きは止まった
いや、優さんだけじゃない
この場にいる私も、絢斗もだ
グイッと肩を引き寄せられた私
引き寄せた相手は…優さん、
ではなくトウ兄だ
「絢斗も帰れ。これからは藍と俺の時間だ」
そう言って私の頭にキスを落とした