勘違いという恋の駆け引き



「この前の続きでもやるのか?」


涼しい顔をして
グラスを磨いている斗真さん
仕事終わり、どうしても
一言言いたくて
斗真さんの店へとやってきた


俺の顔を見て
一瞬驚いた顔をしたが
何事もなかったかのように
何食う?と聞いてきた



「藍に、聞きました」


そういうと
へぇ、と斗真さんは笑っている
大人の余裕なんだろう



「別に過去とか、関係ないですから。それより、今です」


へぇ、とまた返してくる斗真さんに
少しイライラしながら言葉を続けた



「これからは俺がいるんで、」


それだけ言いたかった
だから二度と触れて欲しくない
あの姿を見ていいのは俺だけだ



「優、お前に藍を守れんの?」


グラスを片付けた斗真さんが
俺の真正面に来て
カウンターに両手をついて威嚇するかのように鋭い目つきで言ってきた


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