勘違いという恋の駆け引き
私なりの抵抗、みたいなモノだ
別に怒ってはいない
怒っていない…もん…
枕を抱えたままソファに身体を預けた
優が何しているのかなんて知らない
もういいもん、と
いじけながら眠りについてしまった
~朝、
聞きなれない音で目が覚めた
聞きなれない音、では無いが
私がここにいる以上、なれない音だ
ムクッと身体を起こすと
自分に薄手の毛布がかかっていた
音の方へと視線を送れば
初めて見る光景だ
優の背中、湯気がたっている
パチパチと小さな音が聞こえ
朝から似つかわしく無いニオイが…
静かにダイニングテーブルへと移動した
テーブルにはすでに出来上がっている
サラダにコーンスープ…だが
コーンスープからは湯気は出ていない
キッチンを覗けば
卵の殻や牛乳パック、
そして、焦げ付いたフレンチトースト
絢斗が自炊をしていた時期がある、と言っていたがなんだか怪しい話だ
けど、昨日の謝罪のつもりなら
残さず食べようと
優が気がつくまで背中をずっと見ていた
【Fin】