勘違いという恋の駆け引き
「絢斗、ちょっといいか?」
そう言って誘い出したのは会議室
反対するだろうと
絢斗の反応を事務所にいる
パート事務員さんたちに見せるわけにはいかないと判断した
「なんだ、優」
怪訝な顔をしながら
会議室のソファに座る
「雇いたい子がいるんだ」
俺の言葉に絢斗の眉毛がピクッと上がる
雇いたい子、その言葉だけで
絢斗は理解したのだろう
「店舗なら人足りてるだろう…」
確かにその通りだ
けど、俺の言い分も聞いてほしい
「いや、事務所にだ。今のままじゃ俺も絢斗も身体を壊しかねない。どちらかが倒れたら、片方にかかる負担が半端無い。なら事務所の仕事を任せられる人が欲しいと前々から思っていたんだ。俺らが外に出ている間、事務処理を誰かが責任を持って対応してくれていたら、俺らの負担はかなり減るだろう」