勘違いという恋の駆け引き
何も聞いてこないトウ兄に
私はポツリポツリと話し始めた
私の話を聞き終わると
ひとつ、と言ってきた
「その元カレと、どんなセックスをしたんだ?教えろ」
あまりにも勇気がいる
あんな失態をさらに詳しく口に出さなきゃならないなんて…
黙っていれば
さぁ言えと言わんばかりに
私を見ているトウ兄
シーン、と静まり返った部屋
沈黙を破ったのは
1階にいる母の声
「藍、お母さん行ってくるからね!」
わかったと返事をする
母はこれから同級生と久しぶりに食事をすると言っていた
父が会社の慰安旅行だから
この日に合わせたのだろう
弟の潤は両親がいないからと
彼女とお泊まりするからと
アリバイを頼むと言われていた
誰もいなくなった我が家
トウ兄と二人きり
逃げ場がなくなった私は
諦めてトウ兄に全てを話した