勘違いという恋の駆け引き

カシャッ、という音に振り向く
短大の中庭に植えられている綺麗な紫陽花

カメラ部の人たちだろう
本職さんバリのカメラで写真を撮っている


「あんなプロ仕様のカメラで撮ったら誰だって綺麗に撮れるよね。私たちが使うカメラっていうか、携帯でも綺麗に撮れたらいいのにね」


陽菜が二つ折りの携帯を手にしている
つい数年前までは小さな画面の携帯が
二つ折りになり、画面が大きくカラーになり、携帯にカメラ機能まで付いている
世の中、便利になるが
人は欲を持つものだ


周りを見れば
携帯で写真を撮るなんて当たり前


『けど、私のより陽菜の携帯の方が画質いいじゃん』


メーカーによって画質も操作方法も
そして、見た目も多少違いがある


綺麗に撮りたいねー、
そんな陽菜とのたわいも無い会話から始まったのが、私達のサークルだ