勘違いという恋の駆け引き
なるほど、と考え込むトウ兄
全てを話した私には
トウ兄を直視する勇気がなく
下を向いていた
少しの沈黙が
何時間も経ったかのように感じてしまう
その時、離れていたはずのトウ兄が
私の目の前に座った事に気がつき
顔を上げた
「まず、前の女と比べるような男はクソだ。その男の経験のなさと変なプライドだな。アホらしい」
そうなんだろうかと過去を思い出した
たしか前の彼女は…年上だったかな?
派手めな感じだった気がする
「で?結局、濡れなくて最後までやらなかったってわけ?」
はっきり言葉に出されると
恥ずかしくてコクリと頷くだけ
トウ兄はそこだよな、と言いながら
私の両肩をつかむ
ビックリしたが
トウ兄の目は真剣だ
「藍に、覚悟はあるか?」