勘違いという恋の駆け引き



どうぞ、と
テーブルの上に置くカップ
初めて男の人を部屋に招いた私は
正直落ち着かない

短大に入ってから
陽菜や家族が泊まることはある
けど父や弟とは違う
異性としての男はいない
そんな私には 構わず優さんは
静かにカップを手に取った



『ト、トウ兄と仲がいいんですか?』


何か話さなきゃと出た言葉
けど優さんはまぁ、と流す言葉
そしてまた沈黙が続く
テーブルを挟んで座る私
同じようにカップに口をつける



なんか違う、
モヤモヤが募り、爆発してしまう



『…私、なにかしました?トウ兄のお店に行ってから、なんか…ちがう、から』


爆発したからって
勢いよく言えるほど強くない
けど言いたいことは言わなきゃ
相手に伝わらない…昔、絢斗に言われた

優さんを見ると
ゆっくりテーブルにカップを置いた
それを見て、私もカップから手を離す

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