勘違いという恋の駆け引き
何を言われるのかドキドキしていたが
予想以上な部分で心臓が止まりそうだ
「斗真さんと、なんかあった?」
あの日のことは誰にも話していない
もちろん絢斗にだって話していない
だから優さんが知るはずもない
『…な、なんで?』
私は平然を装うが
多分、顔が引きつっていたんだろう
優さんは一つため息をついて
ゆっくり私の隣へと移動してきた
動揺を隠そうと必死だった私は
優さんを眺めるしか出来なくて
逃げる、という事を忘れていた
「俺、勘がいいんだ」
「藍が斗真さんとって考えただけで、どうにかなりそうだった。あんな笑顔で話しているの見てたら…ムカついた」
優しい口調だが、優さんの目が怖い
触れられた頬に身体がビクッとする
何かされる訳ではない
けど、こんな優さんを見たことがない