勘違いという恋の駆け引き


初め誰だかわからなかった
スーツ姿の絢斗は
私が知っている絢斗より
何倍も大人だった


『どうしたの?仕事終わり?』


「ああ、いま帰り。藍は何時まで?」


珍しく絢斗から誘われた
珍しく、というか初めてだろう
待ってる、と言い閉店まで店で
閉店後は外で私を待っていた



絢斗が連れて行ってくれたのは
サラリーマンが賑わう居酒屋
スーツ姿の絢斗
その場に馴染んでいたのも驚いた


『絢斗もオジサンの仲間入りだね』


乾杯とグラスを付き合わせた私たち
上着を脱ぎ腕まくりをしている絢斗を見ると笑えてしまう


「うるせーな、一日の疲れを流すためのビールだろ?」


そう言いながら笑う絢斗
この笑顔に何人もの女がころっと
やられてんだな、と思う
絢斗のどこがいいのか
私にはさっぱりわからない

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