勘違いという恋の駆け引き



ふっと笑い
私のおでこに置いた手を
頬へと移動し優しく撫ぜてくれる


「大丈夫。昨日は藍の手を握って、藍の寝顔を見ながら寝た。まぁ、ちょっと態勢に無理があったから背中が痛いけど、それでも、藍から離れる事は出来なかった」



また熱、上がったかな?
なんだか頬が熱い
優さんの手に自分の手を置いた
熱いから離して、と
前の私なら言っていただろう

けど、今はこの手が愛おしく思う
お願いだから、この手を離さないで
お願いだから…



「藍のこと、大事にする。だから早く良くなって…。」


近づいてくる優さんの顔
嫌だと手で止める事が出来るかもしれない


やっぱり、熱のせいだ
唇も熱い
離れた唇、その熱が冷めないように
またキスをする


添えていた手は
優さんの指に絡めて握られていた

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