勘違いという恋の駆け引き



「ーーちゃん、藍ちゃん!?」


身体がビクッとし
ようやく呼ばれている事に気がついた


『ごめんなさい、宮路さん』


ほら、お客さん


苦笑いをしながら宮路さんは
オーダー待ちのお客さんの方へ
手をあげてくれた


やっと体調も良くなり
短大もバイトも復帰した
優さんは次の日、帰って行ったが
その日から優さんと会っていない
一応、完治した事と
復帰した事はメールをした


けど、返事はない
まだまだ忙しいだろう絢斗の会社
たった1日だけど
優さんは私のために休んだわけだから
今も忙しいに違いない



結局、お礼…言ってないな
次に会った時に言わなきゃ、と
思いながら、テーブルを後にした



『宮路さん、アイスコーヒーとサンドセットお願いします』


残り時間、気合入れなきゃと
顔を軽くパシッと叩いた

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