勘違いという恋の駆け引き



宮路さんは別に嫌な人ではないし
寧ろいい人だ
責任感も強く、頼りになる
けど、警戒している理由
それは…社会人だった元彼との関係

宮路さんが高校生のとき
元彼は宮路さんの家庭教師だった
それを聞いたときは衝撃だった
宮路さんは何気なく話しただろう会話
だから
私が付き合っていたことなんて
知らないだろう

それだけで距離を置きたい
別にどうってことはない
宮路さんが悪いわけじゃない
ただ、…ただ、元彼と関わりたくないだけ



『宮路さん、お疲れ様でした』


店を出れば真逆な方向で助かる
だが、何故か今日に限って…


「藍ちゃん、送るよ」


『いえ、大丈夫です!それに、私、これから人と会う約束をしててーー』


とっさについた嘘
けど、宮路さんは引かなかった

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