勘違いという恋の駆け引き
カチ、カチ、カチ、と
時計の針の音が妙に耳につく
テーブルに置かれたマグカップ
紅茶は半分くらいなくなっている
なぜ、ここに連れてこられたのか
全くなにも言わない優さんに
しびれを切らし
あのっ…と勇気を振り絞る
『今日はどうしたんですか?』
連絡なしで突然現れた
何かあったのかと
内心、不安だった
「ん?別に…」
ゔっ…。
なんか怒ってる?
やはり機嫌が悪いようだ
『あの…、私、何か気に触るようなこと…しました?』
していない、
断言できるほど自信はあったが
万が一を考えて言った言葉
隣に座っていた優さんが
マグカップをテーブルに置き
私の方へと身体を向けた
この状況が嫌で
何かにすがるように手に取ったクッションを握りしめていた手に力が入る