勘違いという恋の駆け引き
私は…
優さんの彼女であって、
優さんの女では無い
“俺の女”
この響きが私は嫌いだ
なにも知らない頃は
とても嬉しかった
けど、何度も耳にするようになると
疑問が浮かんできた
なんだか…所有物な言い方
私の捉え方の問題なんだろう
それでも嫌なものは嫌なんだ
だから私は
“貴方の彼女”
そう言い換えることにした
そうすれば
少しは違うから
「ーー聞いてんの?」
不機嫌な声に我にかえる
ハッと彼を見ると
眉間にしわを寄せていた
『あ、うん。ごめんなさい』
聞いていなかった事がバレて
はぁ、とため息をつかれてしまった
「もう一度言うから、」
不機嫌な口調で並べられた言葉
それは束縛という命令に似たものだ
そして最後に
「わかった、と言わなきゃキスをする」
これは立派な脅しだ
訴えてやる、と思っていても
決して口には出さず
優さんが望む答えを口にするだけだ