勘違いという恋の駆け引き
宮路さんには
連絡先を絶対教えないでと伝えた
今のアパートだって、知らないだろう
だから、大丈夫…
けど、私の考えは甘かった
「久しぶり」
そう言ってレジの前に現れた彼
驚きすぎて
いらっしゃいませ、も言えなかった
半年ぶりに見た彼は
少し大人な感じで
付き合っていた頃より髪の毛が短くなっていた
『……健太、さん』
冴島健太、高校最後の彼氏
なにも知らない私に
男とはこういうものだと
教えられた人だ
一度でも好きになった人だ
だから嫌いでは無いが
もう関わりたく無いと思っていた
「テイクアウト、出来るかな?」
『ーあ、すみません。当店はブックカフェとなっていますので、店内のみとなっています』
そっか、と残念そうにする健太さん