勘違いという恋の駆け引き
「…へぇ、モテ期到来だな」
まだオープン前だったが
たまたま店の外にいたトウ兄と鉢合わせ
中へと入れてもらった
仕込み中だからと
滅多に入れない厨房へ入れてもらい
オレンジジュースを出された
何も話していないのに
トウ兄は察してくれ
何があった?と聞いてきた
オレンジジュースを飲みながら
優さんとのこと、
そして健太さんとのことを話した
『ーーが、今の状況…』
言い終わると
仕込みしていたトウ兄は
すでに仕込みが終わり
簡易の椅子に座り
腕を組んで目を瞑っている
前回…、あの不感症の時同様
突拍子もないことを言い出すんじゃないかと内心ドキドキしていたが
ある意味、予想だにしない言葉だった
「俺は何を悩んでいるのか、サッパリわからない。だってそうだろ?ようは、藍が誰と一緒にいたいか、ってことだろ。それに、藍が言ってる優がイマイチ、違う気がする」