勘違いという恋の駆け引き




『やっぱり、初めから病院に連れて行くべきだった』


入院3日目
ようやく熱も下がり
無精髭だった優さんの顔はサッパリ
綺麗になっていた

食欲も出たということで
お見舞いがてら
果物を買ってきた


「今回は藍ちゃんに助けられた」


そう笑いながら
私が剥いたりんごを食べている
入院中、さすがに高圧的な態度はなく
昔から知っている優さんだ


『あ、これ返しておきます』


すっかり忘れていた
鞄から出し、優さんへ差し出した
けど、優さんはソレを受け取ろうとしない



『シーツと枕カバー洗濯済みです。冷蔵庫の中もバッチリです。小分けにしたものを冷凍にしておいたので、温めて食べれるようにしてあります』


私ができることと言ったら
そんなところだろう
忙しい日々に戻るなら
少しでいいから
食事に気をつけて欲しいと思った

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