勘違いという恋の駆け引き



「健太さん、ごめんなさい」


優さんに健太さんとのことを問い詰められた次の日
バイト中に訪れた健太さんに
話があると伝え
バイト終わりの時間に待ち合わせをした


本当は優さんに知られる前に
どうにかしたかったが…仕方がない
健太さんと入ったのは
最近オープンしたばかりのイタリアン
個室ではなかったことにホッとした


健太さんは私が断るのをわかっていた
自分がどれだけ我儘なことを
私にしてきたのかを
今更ながら理解しているという


「あの頃、藍のこと好きすぎて心配しすぎて…俺自身余裕がなかった」


あの頃の面影が全くない
転勤が健太さんにとって良い方へと
導いたのかもしれない

よかった、と安堵したのもつかの間
デザートです、とプレートを私の前に置かれてギョッとした


【ユウにバラすぞ】


チョコで描かれた文字に
ウエイターを見ると、苦笑いをした女性
まさか、とキッチンを見れば
和かに手を振っている人がいた


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