また、部屋に誰かがいた
「あかねちゃん、大丈夫?」
モニター越しに問いかける佐藤にあかねは
「怖いよう。もうやだ。帰りたいよう」とめそめそ泣いて見せていた。しかし内心では冷静そのもので、
(何人かいるなぁ。地縛霊かなぁ。可哀想に)と彼女にだけ見えている光景を落ち着いて分析していた。
「いま2階に上がってきました。本当に真っ暗ですぅ…怖いよう…」
一方、今あかねが向かっている2階の旧宴会場では、
「やばい!来た!」
玉木に緊張が走った。「見つかりませんように…」しかし、そんな彼の願いは叶わなかった。
「え………」
ライトの明かりに照らされた玉木を見て、あかねは一瞬、固まってしまった。そして慌ててカメラの電源を落とし、音声マイクをOFFにしてから
「うぷっ…あはははははははは!」と大爆笑した。
「お…俺が見えているのか?」そう尋ねる玉木に
「なんなの?おじさん!『うらめしや感』ゼロなんですけどお!ケホ!ケホ!」あかねはむせるほどに笑っていた。
「頼む!俺のことは見なかったことにしてくれ」
「あたりまえでしょ!あんたなんか出したら番組の雰囲気が台無しになるじゃない!」
「そうか…よかった…」
「あたしも、いろんな霊を見てきたけど…これはないわぁ」
「………」玉木はただ俯いていた。
「こっちは怖い心霊映像をカメラに収めようって企画で来てんのに…。こんなんじゃ使えないじゃない!」
「なんか…すいません」玉木はなぜか、あかねに謝った。
一方、建物の外でモニターを見ていた佐藤や聖子、そしてスタッフたちは突然切れた音声と映像にパニックになっていた。
「あかねちゃん!あかねちゃん!」
必死で呼びかける佐藤の声に対してあかねの反応はない。
「我々も行ってみましょう」聖子のその言葉に従い、彼らは急いで建物の中へ入っていった。
しかし、真っ暗な廃ホテルのなかを進む彼らに突然のトラブルが発生する。
撮影していたカメラの電源が落ちてしまい撮影続行が不可能となってしまったのだ。
「どうしたんでしょうか!急にカメラが使えなくなってしまいました!」
イヤホンから聞こえる佐藤の声を聴いたあかねは玉木を睨んだ。
「ちゃう!ちゃう!俺やない」慌てて首を振る玉木に彼女は
「じゃ、あたしはそろそろロケに戻るから」
「本当に頼むよ。俺のことは内緒にしてくれ」
「わかっているわよ『たまきさん』」ニッコリ笑ってから、玉木に小さく手を振ってあかねは宴会場から出て行った。
「え?なんで彼女は俺の名前を?」そう考え、立ち尽くす玉木のパンツには40歳過ぎて独身だった息子を気遣っていた母が油性マジックで書いた「たまき」の文字が…
モニター越しに問いかける佐藤にあかねは
「怖いよう。もうやだ。帰りたいよう」とめそめそ泣いて見せていた。しかし内心では冷静そのもので、
(何人かいるなぁ。地縛霊かなぁ。可哀想に)と彼女にだけ見えている光景を落ち着いて分析していた。
「いま2階に上がってきました。本当に真っ暗ですぅ…怖いよう…」
一方、今あかねが向かっている2階の旧宴会場では、
「やばい!来た!」
玉木に緊張が走った。「見つかりませんように…」しかし、そんな彼の願いは叶わなかった。
「え………」
ライトの明かりに照らされた玉木を見て、あかねは一瞬、固まってしまった。そして慌ててカメラの電源を落とし、音声マイクをOFFにしてから
「うぷっ…あはははははははは!」と大爆笑した。
「お…俺が見えているのか?」そう尋ねる玉木に
「なんなの?おじさん!『うらめしや感』ゼロなんですけどお!ケホ!ケホ!」あかねはむせるほどに笑っていた。
「頼む!俺のことは見なかったことにしてくれ」
「あたりまえでしょ!あんたなんか出したら番組の雰囲気が台無しになるじゃない!」
「そうか…よかった…」
「あたしも、いろんな霊を見てきたけど…これはないわぁ」
「………」玉木はただ俯いていた。
「こっちは怖い心霊映像をカメラに収めようって企画で来てんのに…。こんなんじゃ使えないじゃない!」
「なんか…すいません」玉木はなぜか、あかねに謝った。
一方、建物の外でモニターを見ていた佐藤や聖子、そしてスタッフたちは突然切れた音声と映像にパニックになっていた。
「あかねちゃん!あかねちゃん!」
必死で呼びかける佐藤の声に対してあかねの反応はない。
「我々も行ってみましょう」聖子のその言葉に従い、彼らは急いで建物の中へ入っていった。
しかし、真っ暗な廃ホテルのなかを進む彼らに突然のトラブルが発生する。
撮影していたカメラの電源が落ちてしまい撮影続行が不可能となってしまったのだ。
「どうしたんでしょうか!急にカメラが使えなくなってしまいました!」
イヤホンから聞こえる佐藤の声を聴いたあかねは玉木を睨んだ。
「ちゃう!ちゃう!俺やない」慌てて首を振る玉木に彼女は
「じゃ、あたしはそろそろロケに戻るから」
「本当に頼むよ。俺のことは内緒にしてくれ」
「わかっているわよ『たまきさん』」ニッコリ笑ってから、玉木に小さく手を振ってあかねは宴会場から出て行った。
「え?なんで彼女は俺の名前を?」そう考え、立ち尽くす玉木のパンツには40歳過ぎて独身だった息子を気遣っていた母が油性マジックで書いた「たまき」の文字が…