また、部屋に誰かがいた
やや肌寒い病院の中庭で「おやつ」を食べ終えた香織は

「今日は上手く撒いたと思ったのに…もう見つかっちゃった。やっぱピーくんはすごいね」

売店近くの待合スペースで、配膳用のカートと椅子の間に挟まれてP15が動けなくなった隙をついて香織は肉まんを買って、監視役のP15から逃走してしまったのだ。

「スウチ…セイジョウデス・デモ・カンショクハ・イケマセン」

「あのね…今日から売店で売られるって聞いて、ずっと楽しみにしてたんだから!」

「………」

「この白い、ふわふわの生地の中から滲みでる肉汁…絶妙なしっとり感と完璧な味つけ。適度な塩味にスパイスが効いてて、そのほかほかを少し肌寒いくらいの外で食べると、どんなに美味しいか…。至福よ!うん至福!」

「………」

「聞いてる?ピーくん!」

「ニンシキ・デキマセン…」

「もうっ!」

「キオンガ・テイカシテイマス」

「うん…戻ろうか…?ピーくん」


香織はベンチから立ち上がり、食べ終えた肉まんの包み紙を丸めて近くのごみ箱に捨てた。

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