また、部屋に誰かがいた
「おかぁちゃん引っ越すことにしてん…」
花を手向けに訪れた母親の言葉を思い返しながら、玉木はいつもの旧宴会場で考えていた。
彼は一人残してしまった母親をずっと気にかけていたが、最も気になっていたことが一つあった。
母親の引っ越しはそのことと関係があるのではないかと考えていたのだ。
「たまきさーん!元気?」
突然、大きな声で呼ばれ、その声のほうに顔を向けると心霊ロケにきていた牧田あかねが立っていた。
「な…!なんやぁ!また、来たんかぁ!」
「うん!なんか…たまきさん大丈夫かなぁって気になっちゃって」
「お前…怖くないんか?自分で言うのもアレやけど、俺、地縛霊やで」
「いやいや…玉木さん…そんな感じで『霊』とか言われても…」
「………」
「それで霊じゃなかったら、ただの変態だよ」
「………」
「なんていうか…オーラが妙に悲しそうだったんだよね…玉木さん」
「オーラ?」
「うん!アタシ霊はよく見てるんだけど、それぞれ色があるのよ。だからたまに本当にヤバいやつがいたら、それでわかるんだけど…玉木さんの色って、とても悲しそうだったから、それで成仏できないんかなぁとか思っちゃって…」
「まぁ、ええわ。それよりちょうど良かったわ。実は頼まれてほしいことがあんねん」
「え!何?」
「実はおかんの様子を見に行ってきてほしいんやけど…」
「おかん?」
「母親のことや!昔、俺に世話になったとか、上手く口実を作って俺のおかんに会ってきてほしいんや」
「何かあったの?」
「実はな…」
花を手向けに訪れた母親の言葉を思い返しながら、玉木はいつもの旧宴会場で考えていた。
彼は一人残してしまった母親をずっと気にかけていたが、最も気になっていたことが一つあった。
母親の引っ越しはそのことと関係があるのではないかと考えていたのだ。
「たまきさーん!元気?」
突然、大きな声で呼ばれ、その声のほうに顔を向けると心霊ロケにきていた牧田あかねが立っていた。
「な…!なんやぁ!また、来たんかぁ!」
「うん!なんか…たまきさん大丈夫かなぁって気になっちゃって」
「お前…怖くないんか?自分で言うのもアレやけど、俺、地縛霊やで」
「いやいや…玉木さん…そんな感じで『霊』とか言われても…」
「………」
「それで霊じゃなかったら、ただの変態だよ」
「………」
「なんていうか…オーラが妙に悲しそうだったんだよね…玉木さん」
「オーラ?」
「うん!アタシ霊はよく見てるんだけど、それぞれ色があるのよ。だからたまに本当にヤバいやつがいたら、それでわかるんだけど…玉木さんの色って、とても悲しそうだったから、それで成仏できないんかなぁとか思っちゃって…」
「まぁ、ええわ。それよりちょうど良かったわ。実は頼まれてほしいことがあんねん」
「え!何?」
「実はおかんの様子を見に行ってきてほしいんやけど…」
「おかん?」
「母親のことや!昔、俺に世話になったとか、上手く口実を作って俺のおかんに会ってきてほしいんや」
「何かあったの?」
「実はな…」