また、部屋に誰かがいた
翌朝、目を覚ました僕は寝室のカーテンを開けた。

そこは

窓一面がピンク色で輝いている。ちょうど窓の外に植えられている桜が満開になっていた。

今日は仕事も休みだし…いいかな。

僕は冷蔵庫から缶ビールを一本持ってきて、桜の窓の前に座った。





「すごーい!すごーい!きれいっちゃ!」

ああ…そういえば、こんな日もあった。
僕はこんなふうに缶ビールを飲んでて、アルコールが苦手な君はお気に入りのグレープ味のソーダを飲みながら、こうやって一緒に桜を見た。


笑顔の彼女は

「春だね~!どっかピクニックとか、行きたいね!」

今日は天気もいいしな…どこがいいかな…

「あの公園は?あそこがいいよ!」

そやな…あそこも桜あったしな…

「だがぁ!行こ!行こ!」

うん…行こう…

「ねぇ…」

うん…

「うふふふ…」
彼女が笑う。


なんだよ…どうしたん?



「だーい好き!」


桃色に輝く窓の前に一人で座り込んでいる僕の目から涙が溢れる。
それは、もう僕には止められなくて、

いつしか、僕は「ひとりぼっち」の部屋のなかで声を出して泣いていた。

いつか僕が、
この部屋を出ていく日がくるだろう。

せめてその日まで
僕はこのまま君の思い出と暮らしたい。

だって…








「部屋に君がいる」








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